資料整理Organizing documents

発掘調査の成果は、「発掘調査報告書」にまとめ、刊行します。報告書は発掘調査で得られた遺跡の記録を保存するとともに、教育や研究にも活用されます。

この報告書を作成するための一連の作業が「資料整理」です。

遺物の洗浄・注記

発掘調査で出土した遺物は、1点1点丁寧に洗浄します。洗浄後、土器の裏面に遺跡名や遺物番号等を小さく明記します。

分類・仕分け

同じ遺構や土層、エリア内で出土した遺物について、土器や石器等種類ごとに分け、さらに時代ごと、器種ごと、部位ごとに細分していきます。

この作業によって、遺構や土層の時期が検討できるとともに、接合作業が容易となります。

接合・復原

壊れた状態で出土した土器の破片を接着剤でつなぎあわせます。破片がない部分や補強が必要な部分は、樹脂で埋めて元の形に復原します。

遺物実測図作成

遺物の正確な形、文様や製作技法などの特徴が分かるように細部まで観察して図面を作成します。

遺物写真撮影

実測図では表現できない遺物の色や質感などが分かるように、専用のスタジオで、細部まで鮮明に撮影します。

遺構図面整理・編集

発掘調査では、平面図や断面図のほか、遺物の出土状況図など、様々な種類の図面を作成します。これらの図面を遺跡や遺構の情報が的確に分かるように組み合わせて下図を作成します。

トレース

整理した遺構図面と遺物実測図は、報告書印刷用に清書(トレース)します。ここから後の作業はコンピュータを使用して行います。

報告書編集

報告書の内容は、図面、写真、各種データ、本文など多岐にわたります。これらを1冊の本にするためにコンピュータを使ってまとめます。

報告書刊行

1冊にまとめたデータは印刷製本され、県内外の図書館や博物館などの施設などに送られ、遺跡の記録として多くの方々に利用されています。

出土品・記録類の保管

発掘調査報告書の刊行が終わった遺跡の出土品や図面・写真などの記録類は、報告書の挿図や写真図版の番号に従って保管され、展示や貸出しなどにも活用されています。

指定文化財や保管環境に影響されやすい金属製品と写真フィルムは温度・湿度を管理した収蔵庫で保管することで、その価値を守り続けています。

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